凹みTips

C++、JavaScript、Unity、ガジェット等の Tips について雑多に書いています。

色々なデバイスやセンサを組み合わせることで幸せになれたのか発表してきた #おうちハック

はじめに

先週の 2015/10/03 に、お台場にあるニフティさんの東京カルチャーカルチャーにて「おうちハックナイト」というイベントが行われ、その中の「野生のおうちハック」というセッションで発表してきました。

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本イベントでは「融けるデザイン」で有名な渡邊恵太先生(@100kw)による「未来のおうちハック」セッション、そして私(@hecomi)とミクミンPさん(@ksasao)による「野生のおうちハック」セッション、そして LT セッションの 3 部構成というものでした。Togetter に全体の流れのまとめがありますので是非そちらもご参照下さい(何と Togetter の中の方がまとめて下さいました!)。

本エントリでは、発表時間の 20 分では伝えられなかったことや、結局発表を通じて伝えたかったことはどういうことだったのか、という紹介をさせて頂ければと思います。

資料

運用してるコード一部

内容と補足

全体の流れとしては、以前の発表「第2回おうちハック勉強会でキーノートトークしてきた - 凹みTips」と同じ内容で、もう少し整理してみた形になります。

より詳しくは資料をパラパラと見ていただきたいのですが、ざっくり言うと、スマホや色々なガジェット、サービス、センサなどを組み合わせて色々な自動化をすると生活が便利になるのかどうか自宅で実験をしてみたのですが、自分にはまだまだ色々と難しいことが多かった、という話をしました。大きくは以下の3つ要因によるものです。

  • 100% 発動してくれない
  • 誤発がどうしても起きる
  • すぐに反応しない

「100% 発動してくれない」や「誤発が起きる」に関しては複数のセンサを組み合わせたりすれば解決する、という話がありますが、確率が下がっても避けるのはなかなか難しいと思います。例えば資料中の「帰ってきたら電気をつける」や「誰もいなかったら電気を消す」を考えてみると、「帰ってきた」とはどういうトリガ?それは例えば部屋を暗くしてプロジェクタで映画見てる時にも実行されないか?とか、「誰もいなかったら」は家族や友達も考慮する必要がある?センサのノイズで発火したりしない?とか色々考える必要が出てきます。たまに間違った動作をすると生活をしているうえでは結構ストレスが溜まります。バグでプログラムが止まってしまうことに加えて、電気回路の動作や自分の行動をも含むバグが生活に入り込む感じで、トリガを意識した動きを部屋の中でするようになったりと、ガジェットやセンサに生活が制限されてしまいます

また「すぐに反応しない」も難しい問題です。例えば WeMo Motion + Hue を「動きがあったら電気をつける」のトリガとアクションとして選んだ場合、WeMo へのアクセスの遅延(SOAP でポーリング)と Hue の遅延(ネットワークで Bridge(中継器)にアクセス、ZigBee で各電球の ON / OFF を制御)の合計が影響してくるので、人が動いたのを検知した瞬間につく、みたいな理想的な状態にはなかなか出来ません。廊下を通り過ぎたら電気がつく、みたいなことになることも良く起きます。

これらを解消するためには相当な注意を払ってトリガやアクションを設計するか、誤発しても問題なかったり発火しなくても問題ないものにする必要があります。例えばメーカが作成しているトイレのふたが自動で開く / 閉じる、みたいなのは良い例で、最悪開かなくても手で開けられるのと、人がいる時に閉じないようにするのも比較的ロバストに検知できます。ただ全てのトリガ・アクションがこんな理想的になれるかというと、なかなか難しいと思います。

そこで一段階クッションを設けて、トリガが発火した後にアクションするかどうかは尋ねる方式にしてみました。具体的には、例えばドアが空いたのを検知した時に「帰宅したので電気をつける」「モニタをつける」「外出するので部屋の全ての電気やモニタなどを消す」を選択肢として送り、発火するかどうかは各アクションに割り当てられたボタンを自分で押下するかどうかで決まる、というものです。これによって適当なトリガを作りまくって、その時やりたそうなアクションを提案しまくっても問題がなくなり、設計的にも精神的にも大分楽になると同時に、とても便利にそして楽しいものになりました。

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この一連の紹介を通じて伝えたかったことは、色々なものをつないだ先の体験をぜひ色々と探して議論していきましょう!ということです。さまざまなメーカやサービスのおかげで、ガジェットやセンサをつないだり運用するのがとても簡単になりました。プログラムも必要最小限で良かったり、何もしなくていいものもあります。これは様々なものがネットワークにつながることで生活が便利に、そして楽しくなると業界全体が考えているからだと思います。私もこの考えにとても賛成で、色んなものを買って試すのを楽しんでいます。しかしながら同時に様々な問題もあり、今回紹介した自動化の問題の他にも、fladdict さんが紹介しているような大量のガジェットの登録や分断化の問題などもあります。

まだまだ色々な問題があると思います。しかしながらきっと解決する方法も色々あるはずです。私なりに自動化に対しての答えは今回は一度尋ねる、というものでしたが、まだ他にもより良い方法があると思います。そこで、是非こういった問題を見つけて共有したり、それらを自分なりに解決しようと試みて失敗したり成功した事例を共有することで、より工夫しがいがあり、そしてその工夫が楽しい生活につながるような、そんな先の世界をみんなで目指していけたら良いなと考えています。そういったことが発表を通じて伝えられていたらとても嬉しいです。

おわりに

運営の皆様、そして登壇を勧めて下さった湯村さん(@yumu19)、ありがとうございました。是非次回もありましたら参加したいと思いますので、今回未チェックだった方も是非次回はお越しください!

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

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